そのままHRもなしに下校となった。
明日は水球なのだが、試合に出ない生徒は午後からの登校でいいらしい。
今日は初日なので全生徒朝から来るハメになったのだ。
ってなわけで、明日の椿さんと与一と乙さんが出る水球の時間だけを確認しておいた。
予定ではAM10:30から。
一応「応援」という名目で来るつもりだったので朝から割とのんびりできるなと一安心だ。
あまり動いてないつもりでも明日になると筋肉痛…なんてことがザラだもんな。
部室とフェンス扉の鍵を貰ってるので最後の試合で使い果たした体力で早く家に帰るためにそちらの通路を使う事にした。
久しぶりに1人で歩いてフェンス扉の見える校舎の影辺りまで行くと雪菜さんと葵さんと塒さんが何やら談笑していた。
何かこのまま行くと夕飯作らされそうな気がしないでもないが、早く家に戻って一休みしたい気持ちが優先して歩を進めた。
「あら裕君。今日は御疲れ様」
「先輩方も御疲れ様でした」
ペコリとお辞儀をしてそのままフェンス扉に鍵をさした。
我ながら惚れ惚れする動作だな…とか思ってると襟首をぐいっと引っ張られ、「ぐえっ」と潰された蛙のような声を上げてしまった。
振り向くと雪菜さんが笑顔で「まだ話は終わってないのよ」と言った。
「あの、疲れてるんで明日にしてもらえませんか?」
「明日じゃ手遅れになるかもしれないから今言うのよ」
そうキッパリと言われたら話を聞かざるを得まい。
「明日の朝一の試合が葵と茜の出る試合だって知ってるわよね?」
さっき確認したのはうちのクラスのだけだ。
「ええ、知ってますよ」
自分の口じゃないようにすらりと言葉が出てきた。
「そう、なら良かった。勿論応援には来てくれるのよね?」
「え…」
朝はのんびりしたかったんだけど…
「裕君来てくれないんですか…」
葵さんが涙ぐんでそんな事を言うもんだから、
「絶対行きますよ!」
最近嘘がうまくなったな…僕。
「話はそれだけ。呼び止めて悪かったわね」
どことなく不機嫌そうな雪菜さんから帰宅OKの言葉をもらえたので一言挨拶をして、フェンス扉からマンションに戻った。

「で、何でいるんですか?」
いつの間にか僕の部屋に来ている雪菜さんと葵さん。
「裕君1人じゃ寂しいと思ってね」
何で寂しくなきゃならんのだと。
客(?)がいるからには寝るわけには行かないので2Lペットボトルを持ち出してジュースを注ぐ。
「どうぞ」
「あら、悪いわね」
悪いと思うなら寝かせてくれとは言えない。
「ありがとう御座います」
葵さんが深々と頭を下げるものだから恐縮してしまって「いえいえ」と答えた。
「ていうか、本当に用事ないんですか?」
「ないことはないんだけど、特にあるわけでも…」
どっちだよ!
「裕君に予定があるのなら帰りますけど…」
葵さんは言葉と表情がマッチするのでこういう発言をされると気を使ってしまう。
「予定というか疲れてるんで寝てしまおうかと」
疲れの部分を強調して言ってみた。
「それなら寝てていいわよ、夕飯の頃起こすわね」
やっぱ食事目当てか。
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