「C・Dブロックの決勝戦を行います。選手の方はコートにお急ぎ下さい」
何とも業務的なアナウンスを聞いていると与一と椿さんに声をかけられた。
「おはよう!」
何だか眠気スッキリな感じの与一が変な挨拶をしてきたが無視。
椿さんは「こんにちは」と、こちらも意味不明だ。
楸さんが「こんばんは」と返していたがこちらも意味不明。
試合前にあまり混乱させないでくれと言いたくなったが、僕はそう活躍するわけでもないし、「あ、そう」とだけ答えておいた。
試合の相手は3-2aチーム。
その中には3-3bにはいなかった残りのバスケ部員らしき負け犬さんが2人いた。
特に何事もなく試合開始。
今回はさすがにジャンプボールは取れなかった。
何しろ、こちらのチームには身長170cm以上の人がいない上に、相手のバスケ部員は2人とも190cm越えと反則的な高さを持っていたからだ。
そんなこんなで試合が進むわけだが、3分程で9:6の大苦戦。
こちらは3Pシュートオンリーなので外してしまうといとも簡単にリバウンドを取られてしまう。
相手チームに女子が2人いるわけだが、それ程動くわけでもなくボールを持ったら適当にシュートを打ってバスケ部員にリバウンドを取らせるだけだ。
これが中々に厄介だが、それでも意外にフェアな試合でリードしている。
乙さんが右手の小指と中指を立てた。
作戦Dの合図だ。
僕と花が相手のパスルートを走り回り、あわよくばパスカットをするという今日の最終試合ならではの体力勝負。
すると上の観戦席から嬉しくなるような声援が聞こえてきた。
いきなりの事でビックリする相手チーム。
乙さんと塒さん仕込みの2重作戦だ。
乙さんの合図で選手はコート上での作戦を、観戦席の人達はいきなりの声援を送る作戦。
動揺しまくった相手は自分がボールを持っているのが嫌になったのか(名指しでブーイングされる)、ひたすらに味方同士でボールをパス…いや押し付けあっている。
花が手際よくパスカットをし祟君に戻す。
祟君は「はい」とつぶやいて楸さんに戻し、楸さんが3Pシュート。
慌ててカットしようとした相手の女子が楸さんにファウルを与え、そこからまたフリースロー。
そんなこんなで前半の10分間が終わる頃には28:10と偉く差を広げる事ができた。
ハーフタイム、乙さんが「残り10分でさらに42点差よ。相手のシュートはもう入らないはずだからファウルを誘って得点を重ねましょう」と説明した。
ハーフタイムが終わり、ジャンプボールを取られそうになるもうまく僕がそのボールをキャッチ。
乙さんに戻すとバスケ部員の1人が猛然と乙さんに突進した。
うまくかわしたように見せかけ、少しだけ相手の突進をうけながら3Pシュート。
何でこうも3Pシュートが入りまくるのかと疑問に思いつつも綺麗な弧を呆然と見つめていた。
相手の得点源はバスケ部員の2人なのだが、普通にドリブルしても花や楸さんに止められるし、パスを出そうものなら近くの誰かがパスカットをほぼ確実に決める。
ヤケになって負けじとミドルレンジのシュートを打ってきたが、前半の動揺が残っているせいか乙さんの予想通り相手のシュートは1本も入らなかった。
こちらは技術的にはそんじょそこらのバスケ部員には負けない楸さんと乙さんのお陰で1プレーにつき4〜6ポイント稼げる。
残り2分という所で相手がうまく3Pシュートを決めたがその時点で73:13。
目標の点差は稼げたものの、乙さんは「あと10点!」と、とてつもなく張り切っていた。
結果は僕のスタミナ切れもあり、パスカットの回数も減って80:14。
一度パスカットのつもりが相手の手を叩いてしまって1ファウル取られ、フリースローを1本決められたのだ。
乙さんの作戦勝ちというか何というか、この日の試合で1番の得点を得たのは1-2bだった。
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雪月花
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