偉く緊張して入り口辺りで呆然と突っ立っていたら後ろから祟君に、
「ちゃんと呪…じゃなくておまじないしておいたから大丈夫だよ」
と励まされた。
でもさー、おまじないって「御呪い」って書くんだよね、結局呪いなんじゃ?と思ったものの、そんな事言って僕が呪われたらたまったもんじゃないから無難に「ありがとう」と返しておいた。
少しは緊張ほぐれたけど、前の試合を見届ける余裕はなかった。
そういえば2-2bの選手いないなと周りを見回した。
すると、後ろの扉から顔色の悪い5人がやってきた。
主審の仕事を終え、その場で合流した乙さんも合わせて軽くウォームアップ。
上の観戦席には1-2や2-2の面々を中心にかなりの人数がいる。
誰がどの辺にいるのか確認する時間もなく整列の合図をされた。
実際整列して2-2bの人達を見ると、本当に具合が悪そうだ。
そんでもって試合開始だけど、こちらはジャンプボールに適した身長の人がいない。
祟君は僕より低いし、楸さんの方が僕より高いとはいえ、たったの2cm差だ。
とりあえず楸さんがジャンプボールのサークルに入り、顔色の悪い2年生の男子と向かい合った。
笛の音と同時に飛び上がった2人…じゃなくて楸さん。
2年生の男子は5cm程ジャンプしたがすぐに諦めてしまったようだ。
楸さんが弾いたボールを何故か僕が受け取った。
そしてすぐさま乙さんにパス。何だかボールを持ってると見られてるような気がして嫌なんだ。
3Pラインまで走っていた花と祟君を囮に、ハーフラインあたりの楸さんにパスが出た。
楸さんはそのままドリブルで切り込んだ。軽く放られたボールはリングに当たらずパスッと音を立ててゴールに収まった。
10分のハーフは2年生があまり動けなかったのもあり、26:6で先制した。
ハーフタイム中でも水分補給をしようとする人はこちら側にはいない。
それに対して相手チームは皆姿を暗ましている。大方トイレにでも駆け込んだのだろう。
特に働いてない男衆2人…僕と祟君はほとんど体力を使ってない。
それどころか祟君は「ね?大丈夫だったでしょ?」と得意満面だ。
「あれはちょっと酷くない?」
トイレでの諸事情を知っている僕が聞くと、
「何のことかな?」
相変わらずの笑みだ。
花、乙さん、楸さんは何やら談笑している。
この3人がコート中を駆け回っていたのだが、ほとんど疲れはないようだ。
よくよく考えたら、高校に入ってから会う人のほとんどが並じゃない特徴を持ってるな。
3分の休憩を挟んで試合再開…のはずが。
「2-2bチームは全員体調不良のため後半は棄権になりました。前半戦の結果をそのまま試合結果として採用します」
とアナウンスが体育館内に流れた。
後半やる気満々だった花と乙さんは「え〜!?」って叫んではいるが、何とか楸さんがなだめている。
「後半の時間は休憩時間とします。3回戦は予定時刻から行いますので、選手の方は宜しくお願いします」
と、締めくくられた。
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雪月花
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