「で、葵は?」
楸さんに手伝ってもらいながら食材を整理していると雪菜さんに聞かれた。
すっかり忘れていたもんで、
「ていうか、何で葵さんが下にいたんですか?」
質問で返してやった。
「2人の帰りが遅いのと、犬に関する嫌な予感がしたのよ」
犬に関するといったらあのチワワしかない。だから葵さんが派遣されたのだろう。
すると葵さんが帰ってきた。
「ただいまですぅ…」
どことなく疲れた様子だ。
雪菜さんがおかえりと葵さんの頭を撫でている。
卓袱台に突っ伏した葵さんはふにゃ〜と寝てしまった。
楸さんが何故かヨシヨシと僕の頭を撫で始めた。
「な、何?」
本日2度目の同じ質問。
「裕さんも疲れてるみたいだから…」
「僕より楸さんの方が疲れてるでしょ。休んでていいよ」
「ありがと…あと、裕さんに身長抜かれちゃったらもう撫でられないと思ったんだ…」
楸さんは言い終えるとウンと頷いて葵さんの向かい側に座って塒さんと雪菜さんの会話に加わった。
そしてまた1人…
じゃなくて、時計を見てみるとPM4:14。確かに時間かかったな。
それでも夕飯をじっくりと作る時間はある。
綺麗に手を洗いなおしてからまずはステーキの下ごしらえに取り掛かった。
黙々と作業に徹する事約2時間。
あまり嬉しくない事実だが、割と料理人とかの職があってるかもしれない、腕は別にして。
じっくりと煮込んだクリームシチューにパセリのみじん切りを加え完成。
今日は米でなくフランスパンを用意してみた。
そういえば、ここの米っていつの間にか補充されてるな。
丁度トイレから出てきた与一に無理矢理手伝わせ、卓袱台に料理を並べる。
乙さんが「うわ〜」「お〜」とかの感嘆詞を1人で並べているのは置いといて、与一は運んでいるステーキに涎を垂らしそうな勢いだ。
与一に頼んだのはマズかったかな?と思っているとゲストの塒さんが手伝ってくれた。
「わざわざすいません」
「いいのよ、ご馳走になるからこれくらい」
ああ、久しぶりに人格者に遭遇した気分です。
ナイフ、フォーク、スプーンを並べ終え食事の準備は完了。
PM6:30と少し早い時間だが、空腹らしい皆さんには丁度いい時間だったようだ。
「葵、起きなさい」
「んえ?」
「ご飯できたわよ、顔洗ってらっしゃい」
「うあ、え…あ、はい」
寝惚けているのだろうか、雪菜さんの一言一言を理解するのに時間がかかっている様子の葵さん。
与一と花は目の前に置かれたステーキを食い入るように見つめている…お前等餓鬼か?
すっかり目を覚ました葵さんが席につくと、特に音頭もなく雪菜さんの「頂きましょうか」の一言で食事開始だ。
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雪月花
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