買い物籠を持ってあれやこれやと食材を取る。
今日は11人(イレブン)のステーキやらシチューの準備なので楸さんと1つずつ籠を持っている。
今更ながら来てくれて感謝。だってこんなに持ちきれないし。
ステーキ肉を選ぶ時、
「お金あるし高いの選ぼうか?」
「でも、高いお肉8枚しかないよ…」
「ほんとだ。せめて10枚はないとなぁ」
「え?11枚じゃ…」
「与一なら安いので十分だよ」
「あはは、そうだね…これあたり?」
空いた右手で安物の肉のパックを手に取りこちらに掲げられた。
「うん、それでも高いかもね」
「花ちゃんもこういう味には鈍そうだよね…」
「ああ、確かに」
2人してクククと笑っていたら昼の買い物をしているオバサンに変な目で見られた。
とりあえず、それなりの肉を11枚選んで味付けのソースとかシチューの具材を購入。
レジで会計を待つ間、楸さんにジーッと見られた。
「な、何?」
「うん、裕さん背伸びたなって…」
「そうかな?」
確かに楸さんと目線がほとんど一緒だ。
「私で167cmだから裕さんも一緒くらいかも…」
「学期初めの身体検査では165cmだったけどね」
「もしかしてバスケのお陰じゃない?」
「そうかもね。茜さんや誠さんにバスケに連れ出されてたし」
そしてお会計は6494円。
「思った程かからなかったね」
「そうだね…ここ安いから…」
ビニール袋に食材を入れながらそんな会話をしていると、
「あ、父さんだ…」
「え?」
「ほら、そこの車家のなんだよ…あ、出てきた」
「わ、待って!」
楸さんが手を振って呼ぼうをするのを懸命に止めた。
「あれ?裕さんもしかして…」
「うん、誠さんと一緒みたいでね」
「あは、それじゃあ早いとこ逃げよう」
保科工具店の店長さんが入ってきた自動ドアとは逆の自動ドアからこっそりと出た。
「ちょっと不機嫌そうだったから逃げて正解だったね…」
表情を見る余裕が無かったため、その発言を聞いてドキリとした。
猛獣のような一面を持つ店長さんが不機嫌さ一杯で近付いてきたらと思うと心臓が止まりそうになった。
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雪月花
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