プールへ向かう途中、やはりというか何というか雪菜さんに絡まれた。
「裕君なかなか大変ね」
口元はニヤニヤとしているが目が恐い。
「はい、大変です」
フフッと微笑んだ雪菜さんはスタスタと行ってしまった。
唯一僕の後ろにいた祟君が「本当に大変そうだね…」と慰めてくれた。
まあ、日頃の活動からしてかなり大変なんだけどなと思い返した。
球技大会が終わったらまた家政夫生活か…と思うとこの観戦できる今日明日がとても大事に思える。
さすがに決勝のある最終日は呑気でいられないだろうし。
今回はスタート台の辺りを雪菜さん達共々陣取った。
可哀相に、与一は今の今まで相手が葵さん達だと知らなかったらしくビクビクと脅えている。
「お手柔らかにね」と葵さんが与一に言っている辺り、試合前のプレッシャーをかけているのだろうか?
そして試合開始。
最初の5分程は何とも平凡な試合展開で、3:4と1-2aが負けているものの1点差だ。
調子に乗りかけた与一の前に茜さんが立ちはだかると須貝先輩がパスと受け取り椿さんと対峙…という展開がしばしば見られた。
前半残り2分の間も得点に変化はなく、現在3:4で1点負けているだけだ。
乙さん程正確ではない僕の予想だと、後半は2:8くらいで合計5:12くらいじゃないだろうか?
そんな予想は物の見事に砕かれ、試合が終わると6:5で1-2aの勝利。
あれ?っと横にいた花を見ると花も不思議そうな表情を浮かべている。
とにかく、これで関係者の今日の試合は終了。
因みに1-2bチームは1回戦で3:8と負けてしまっていた。
納得のいかない僕や花に後から誠さんが説明してくれたのは、
「葵に最終日のバスケまで無理をさせないのが1つとどうせなら温泉はみんなで行きたいから手強いチームが残ってない水球で1-2にポイントを稼いでおいてほしいから」
ということで、勝ちを譲ってもらったようなものだ。
乙さんは平然としているあたり、最初から知っていたのだろう。
「じゃあ、今日はこれでお終いだし部室で夕飯でもどう?」
雪菜さんの提案に少し申し訳なさそうな楸さんと僕以外は皆賛成。
「裕ちゃんの料理久しぶりだな〜」
「作る側は大変だけどね」
「私も楽しみですよ」
ちょっと寒さのせいか震えている葵さんにまで言われてしまった。
そんな僕には何も言わず、雪菜さんは須貝先輩や阿江君祟君、乙さんまで誘っている。
「料理って誰が作ってるんですか?」
知らない人なら当然の疑問を浮かべた乙さんに感謝!
まあ、僕が作るという結果は変わらないだろうけど…
「うちでは裕君の料理が好評なのよ。是非ともいらっしゃい」
「へぇ〜中村君が作るんですか。それは楽しみですね」
ほら、やっぱり。
阿江君と祟君、須貝先輩は用事があるからとか早く休みたいからと帰ったため、乙さんがゲストとして来る事になった。
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