司令塔はやはり乙さん。
相手は2年生なんだけど、校長息子と生徒会の書記がいるという事で怖気づいているのかあまり動きがよくない。
与一はバタフライで移動と無駄に元気だ。
椿さんと乙さんは機械のようなコンビネーション。
「椿さん右45°3m進んで」
「はい!」
「与一ゴール前で待機」
「おう」
これ水球か?
つーか、相手に丸分かりだろ。
阿江君も同じ事を考えていたらしく、
「よくやるねぇ」
と呆れ顔だ。
花は何が面白いのかそれに熱中しており、祟君の肩に手を乗せピョンピョン飛び跳ねている。
祟君は赤面しながら俯いてるだけ。
中々初々しいなと笑みがこぼれた。
前半が終了し10:3と余裕の展開。
本部の方に目をやると、体育委員がトーナメント表に何やら赤ペンで書き込んでいる。
目を凝らしてみると…
『水球の得点換算は2倍になります。バスケの得点に対する微調整だと思って下さい』
勿論ブーイングの嵐だが…
「全て生徒会長の意向です。文句があるなら生徒会長に言って下さい」
とスピーカーで告げた。
最初からスピーカーで言えよと言われる事はなく、「生徒会長の言う事なら仕方が無いか」と皆納得してしまった。
それでいいのか日高高校生!?
体育委員が「明日のサッカーは3倍です、水球後半戦開始ですよ」と付け加えて後半戦スタート。
もう何振り構っていられるかと与一達の相手もやる気を出した。
元々水球の重点は低かったのに、ギリギリでこんな変更をされたら7点差でも14ものクラス得点が減ってしまう。
そこを付くのが乙さんの凄い所で、与一を囮に振り回して椿さんとのコンビネーションで次々と得点を加えた。
結果は25:9。
プールから上がって控え室へ向かう途中「まあ、こんなもんでしょ」と乙さんが呟いてるのを聞いた。
次のブロックの2試合を挟んで準々決勝だ。
相手は茜さん達なのだが一緒の控え室で談話している。
今の試合、与一は泳ぎまくっていたせいか相当息が上がっている。
恐らく1kmくらいは泳いだのではないだろうか?
与一の事だし、放っておけば勝手に回復するだろう。
それに比べ楸さんは良く寝るな。
僕の背中で静かに寝息を立てている。
夢でも見ているのだろうか、「ギョウザ…」と言って一度耳たぶを咥えられてしまったが、それ以降は静かなもんだ。
皆さんが座って談話している中1人だけ突っ立ったまま楸さんをおぶり、珍しく意気投合した与一と椿さんがチラチラこちらを見てコソコソ話していたのが嫌だった。
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雪月花
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