茜さんが相手のゴール前におり、真ん中あたりに葵さん、自陣のゴール前に須貝先輩が立っている。
試合も終盤で現在15:7と2-2aのリード。
相手チームは中々動きが良いように見えるが、そこはさすがの先輩方、取られたら倍取り返す勢いだ。
相手チームは3-1b。
生徒会長の迫さんのいるクラスだが、迫さんの姿は見当たらない。
乙さん曰く、
「もし姉がいたら怪我している葵先輩と普通の須貝先輩じゃ太刀打ちできないわ。茜先輩が疲れさせられて僅差で姉が勝つでしょうね」
らしい。
茜さんを疲れさせるまで凄いとなると雪菜さんの相手をして疲れた楸さんや、あまり体力に自信のない僕と祟君のいるチームじゃバスケで勝てる見込みはないだろうな。
最後に葵さんがふわふわしたシュートを決めて16:7で試合終了。
続いて乙さん達の試合だ。
「じゃ、行ってくるね」
ジャージの上着を花に預けて乙さんは小走りに去っていった。
コートはそのままなのだろう、与一と椿さんがその場でジャージを脱ぎ始める。
「ヒャッホウ」
とかわけのわからない声を上げて与一がプールに飛び込んだ。
さすがにそれだけの衝撃のあった水飛沫はコースのスタート位置の雪菜さん達まで届いてしまう。
と思いきや、雪菜さんはすかさず与一の脱ぎ捨てたジャージを盾にして水飛沫を防いだ。
誠さんも見事にその後ろに隠れている。
「与一君、注意しなさい」
雪菜さんに言われ、「すいませんでした!」と体育会系の謝罪をしてから悠々と泳ぎ出した。
その与一を追うかのように乙さんと椿さんがプールにゆっくりを浸かった。
茜さんと葵さん、それに須貝先輩はタオルを取りに控え室まで降りて行った。
まあ、時期が時期だし水温もさぞかし低いのだろう。葵さんは震えてしまっていた。
まもなく試合開始といったところで阿江君と祟君が一緒にプールサイドに現れた。
「やあ」
僕と阿江君と祟君の声が重なった。
「2人が一緒なんて珍しいね」
花が2人に話しかけると祟君は阿江君の後ろに隠れてしまった。
「ああ、呪矢とは小中一緒だし」
「へぇ、祟君ジュヤって名前なんだ。どう書くの?」
「呪いの矢…」
花の陽気な質問にボソボソと答える祟君。
さすがの花も引いちゃったみたいで、
「そ、そうなんだ…うん、良い名前だね…語呂は」
と遠慮がちに答えていた。
僕の背負っていた楸さんに気付いた阿江君は、
「楸は何で寝ちゃってるの?」
と、呼び捨てにしているあたりどうにも親しい仲らしい。
「部活の先輩とバスケしてたら疲れちゃったみたいでね。ああ、バレーもしてたっけ」
「ははは。まあ、明後日のためにゆっくり休んでいてもらおうか」
「そうだね」
僕は休めてないけど…とは言えなかった。
「言ってなかったけど、俺と呪矢とこの双子は一緒の中学なんだよ、2・3年の時は同じクラスだったんだ。ってもう聞いてるかな?」
「いや、初耳だよ」
「そうか、とりあえず試合を見ようかな」
そういって阿江君は壁にもたれかかりながらプールで暴れている与一に目をやり苦笑した。
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