体育館前を通った時に昨日の得点表が出ていたので確認した。
現時点で1位は2-2の204点、2位は3-1…迫さんのクラスで178点、3位は僕達のクラス1-2で131点。
他に100点を越えてるクラスはなかった。
良くて4位で89点、最下位の15位のクラスでも-68点だ。
これからバスケに限っては乙さんの計算によると-40なので4位とは2点差でギリギリ3位。
椿さんと与一の水球での得点に期待しておこう。
「裕さん、急がないと始まっちゃうよ」
体育館の角で椿さんが呼んでいる。
小走りでプールへ向かい選手の姿を見てビックリした。
選手は皆競泳用の真っ黒な全身水着を着ている。
時期が時期だから風邪をひかないようにとの対応だそうだ。
とは言っても、手足首の先は生身なわけで、これで葵さんの怪我を覆う事はできない。
試合開始の合図があって中で体を慣らしていた茜さんと葵さん、もう1人は知らない男子生徒だ。
葵さんの手を目を凝らして見てみると…何もつけてないように見える。
25mプールが横に2本のブイで仕切られており、試合は横10m×縦15m程のコートで行われる。
時間は7分ハーフの2分休憩。本物の試合は7分試合の2分休憩で4ピリオドなので実動時間は半分となっている。
とにもかくにも試合はほとんど予想通りに進み、葵さんはあまりボールに触らずに茜さんと男子生徒のコンビネーションで2-2aチームが18:3で勝利した。
バスケに比べ取れる点数が少ないなと感じた。
水中の動きだからと思ったが、それだけにバスケの大量得点がこの球技大会で大事かがわかった。
プールから上がった4チーム。2-2aの面々は雪菜さんと誠さんと話しながらこちらに向かって来た。
「御疲れ様でした」
「おう」
何故か端の方でいじけている与一は椿さんに任せて、楸さんと先輩達と控え室に向かった。
一足遅れて椿さんがいじけた与一を引っ張って連れてきた。
タオルに包まった3人のうち、葵さんの手を見ると薄いゴム製の手袋がはめられていた。
「あ、これですか?」
少し寒いのだろうか、唇を青くした葵さんが手袋を外して見せてくれた。
「雪菜ちゃんが用意してくれたんですよ」
これって…手術用の手袋じゃ?
「どこでこんなもん手に入れたんですか?」
返ってくる答えはわかっていたけど聞いてみた。
「秘密に決まってるでしょ」
ああ、そうですか。
因みに小規模ながらも控え室は4つあるのでここにいるのは2-2a関係者の9人。
乙さんと塒さんは仕事だろうし、花は多分遅刻だろう。それか昼まで来ないつもりなのか。
どうやら与一は1人になりたいらしく、控え室の隅でひっそりと体操座りをして顔を隠している。
見知らぬ男子2年生と茜さん誠さん、双子の5人は談笑中。
「須貝君、次の試合何時でしたっけ?」
不意に葵さんが男子生徒に話しかけた。
「確か昼食後の最初だから1時からだったかな。冷えるといけないから着替えておいた方が良さそうだね」
茜さんと須貝先輩って人が並んで立っていると少し茜さんが身長高いな。
「じゃあ、着替えてきますね」
茜さんと須貝先輩の後ろを葵さんがトコトコとついて出て行った。
「椿く…さんと与一君は何時からの試合かしら?」
椿君と言いかけて椿さんに睨まれ慌てて言いなおす雪菜さん、ちょっと意外な一面を発見できた。
「乙さんも同じチームで10:30からですよ」
妙な威圧感を与えながら椿さんが微笑みを浮かべ答えた。
「まだ1時間以上あるのね、とりあえずここから出ましょうか」
誠さんが椿さんを手伝いながら与一を引きずって体育館へ向かった。
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