4月末、もうすぐゴールデンウィークという時期に球技大会なる校内行事が予定されていた。
ようやくクラスとも馴染んだ頃なので、それなりに楽しめるだろうと期待している。
1-2では出席番号で1番最初の阿江君が学級委員にさせられていた。
普通ならしょうがなくって感じでとりかかりそうなこの仕事に阿江君は中々一生懸命だったりする。
理由は簡単、特に入りたい部活がなかった阿江君はこの学級委員という仕事のお陰で退学にならずに済んだからだ。
そして、どういう経緯かは知らないが生徒会を牛耳ってる瀬戸泉姉妹の3女(噂では5人姉妹らしく、ちょうど真ん中)の乙(いつ)さんがこのクラスにいたりする。
勿論生徒会役員であり、書記というポストに就いている。
因みに長女の迫(せこ)さんが生徒会長、次女の塒(とや)さんが副会長に就いている。
繰上げ式に生徒会長の座を5代続ける事は既に決まってるとかどうとか…
そして、この瀬戸泉家は校長一家の日高家と旧来の友人だとかで与一と乙さんが話しているのを見たことがある。
その様子を椿さんがじーっと睨んでいたのはとても印象的だった。
話は戻って4月の3週目のLHR時、担任の田中先生が「今日は月末にある球技大会の選手決めを行います、あとは阿江君よろしく」と言ってさっさと阿江君の机に座って寝てしまった。
この球技大会の競技はバスケ・サッカー・トリオ水球(3人1チームでの水球)の3つで1人1つか2つの競技出場が義務付けられている。
そして、全ての競技において男女混合で、1年〜3年の各5クラスずつ計15クラスでクラス単位で争われる。
どういう基準での計算かはまだわからないが、最下位から3クラスには中間試験が行われるらしい。
期末試験しかないと言われていた学校にこのような裏があったとは…と皆やる気に満ちている様子だった。
とにもかくにも、全種目2チームずつ編成される事になっており、僕と花と楸さんと乙さんと名前がわからない男子がバスケで同じチームになった。
何故か与一は「俺!水球!絶対水球!」と皆が拒絶気味だった水球に立候補していた。
それにつられてかどうかは知らないが「じゃあ、私も!」と椿さんが与一を睨みながら立候補していた。
乙さんは掛け持ちで水球もする事になっていた。
放課後、5人で部活に行く習慣がついていたので双子が僕と与一と花の席に近づいてくるのを待ってから部室へと向かった。
「何で水球なんか選んだんだ?」
与一に問いかけてみた。
「そりゃー、水球ならなぁ」
とヤケにニヤついている。
「でも、普通の女子なら水球を選んだりしないと思うよ」
花の発言に与一はハッとした様子で「そ、そうだっけ…」と非常に落胆してしまった。
「私がいるじゃないですか」
椿さんが物凄く誇らしげに与一に笑みを向けたが「黙っててくれ…」との与一の一言に傷ついた表情を浮かべていた。
部室には既に2年生の4人が到着しており、居間で何かのリストを作っていた。
「あ、おかえり」
部室での挨拶はただいまとおかえりで統一されている。
いち早く僕達の入室に気付いた誠さんが定例の挨拶をしてくれたわけだ。
「ただいまです」と微妙な丁寧語で挨拶を返し、球技大会の話題が開始された。
2年の4人が2-2で同じクラスなのは知っていた。
どうせ知ることになるのだからと部員同士の出場競技を教えあった。
「私達4人と塒ちゃんでバスケ1チーム編成してるの。あとは誠がサッカー、茜と葵が水球の掛け持ちね」
塒ちゃん?ああ、生徒会の瀬戸泉家の次女だなと思い出してると花と椿さんが2年生にこちらのメンバーも説明していた。
「そっちにも瀬戸泉姉妹がいるのか」
茜さんが意味深げに続けた。
「なら後でわかると思うけど、総合得点で1位から3位のクラスには温泉旅行券がもらえるらしいぞ」
与一と葵さんがうんうんと頷いている。
校長の子だから既に知ってたんだな。
花が「温泉だー♪」とやけにはしゃいでいるが、そう簡単に勝てるかどうか。それよりも中間試験を受けるハメにならない事が重要だ。
「因みにこれは去年勝ったクラスと生徒会の人しか知らない事になってるから秘密ね」
雪菜さんが付け加えた。
「まあ、今年も優勝だろなー」と余裕の茜さん。
「そうね、1年生で凄いクラスでもない限り温泉はいただきね」
まあ、工作部の2年生が固まってる2-2に最初から当たったら不運と諦めるしかないだろうな。
ていうか去年も優勝してたんだと思ったけど敢えて口に出さないでおいた。
INDEX
NOVEL
雪月花
NEXT