そんなこんなで入学式だ。
何と言うか、学校案内のパンフにアホ面晒してた校長が真面目な顔して式辞を述べたりしてたのが逆に不安だった。
入学式の後にクラス発表が掲示板にてされることになっている。
因みに入学式の席は自由だった。
掲示板の前には人だかりができていて確認するのは大変だったが、何とか1-2に自分の名前があることを確認し教室へ向かう。
まあ、こっちに引っ越してきたばかりなので知り合いなんてのもいない分、自分のクラスさえ確認できればよかっただけ楽な方だろう。
教室について黒板にでかでかと「席はご自由に!」と書かれているのを確認して無難に一番奥の窓際の席を選んでおいた。
1クラス36人編成で、1学年5クラスずつある。
私立にしては少ないと思いつつも、それほど開けた所にあるわけでもないしなぁと一人で納得。
ぼんやり窓の外を見ながらそんなことを考えていると教室には20人くらいの生徒が入っていた。
「ここいいか?」
と一人の男子学生が僕の前の席を指差して聞いてくる。
「ああ、いいよ」
簡単に答えると「俺、日高 与一ね、よろしく」と自己紹介してくれた。
僕も「僕は中村 裕。よろしく」とまあ、至って普通そうな自己紹介をしておいた。
お互い顔見知りがいなかっただけあって、多少の緊張はあるものの、下の名前で呼び合う事になった。
日高ってここの校長と一緒だよなぁ…まあ、珍しい名前じゃないけど。
つーか、高校名だったな。いやあ、忘れてた忘れてた。
与一の顔はどことなくアホそうな雰囲気をかもし出している。
ということで聞いてみた。
「与一ってここの校長の息子さん?」
「お?よく気付いたな、俺頭悪いから他に行ける高校なくてな」
なるほど、アホ面に加えて馬鹿なのか、しっかりと覚えておこう。
そんな失礼な思考には気付くはずもなく(アホ面で馬鹿だし)与一はペラペラとしゃべり続ける。
「でさぁ、中学の知り合いとかほとんどいなくてな。一緒にバカやってた奴が一人いたんだけどそいつ1組になっちゃってさ。だから一人で黄昏てる裕に話しかけたってわけだ」
「黄昏てたかなぁ?元々ぼんやりしてるのが好きだからなぁ…」
と、平和な空気を放ちながらくっちゃべってると担任の先生が教室に入ってきたため一度会話は中止。
担任の先生はどこにでも居そうなオッサン先生で迫力の欠片もない。
担任が話し出そうと口を開いた瞬間、教室の後ろのドアが大音響を放ちながら開いた。
ドアの近くにいた生徒はビックリしてそのドアを開けた主をマジマジと見ている。
その主である女子生徒は肩で息をしながら「スイマセン、遅れました」と言い、2箇所だけ空いていた僕と与一の隣の席を見つけ、一番後ろである僕の真横の席に着く。
先生は困ったような顔をしつつも、「えー、このクラスの担任になった田中です。担当教科は英語でこのクラスの授業も受け持つ事になります。よろしくお願いします」
とまあ、普通そうな印象を与えてくれた。
「じゃあ、まずはそれぞれ自己紹介をしてもらいましょうか、一番後ろの君から」
と、何故か一番後ろの端に座っていた僕から自己紹介することになった。
「えーと、中村 裕って言います。最近こちらに引っ越してきたばかりなので分からないこともあると思いますがよろしくお願いします」
半ばカミカミだったけど自己紹介が終わってホッっとする。
隣の席になった女子生徒が「裕…?もしてして…」とブツブツ言ってるのは気にしない。
次は与一の番で、名前を言った段階で皆からマジマジと見つめられているがそこはさすがにアホ面で馬鹿の与一、全く意に介せず無難に自己紹介を終えた。
適当に他の生徒の自己紹介を聞き流していると隣の席の女子の順番がやってきた。
「常盤 花です。よろしくお願いします!」と無駄に元気一杯な挨拶だ。
まあ、聞いたことあるような名前だったが記憶が定かではないのでそこは知らん振り。
常盤さんの前の席は空いているものの、他の生徒の自己紹介が終わって先生が教卓に立ち言い放った。
「常盤さんの前の席が空いていますが、2学期からこちらに編入してくる生徒がいるのでその人の分の席です」
んー、ということは美月かな?とか何とか考えてみたけど、無駄なので気にしないことにした。
「それでは、プリントを配布しますので、明日からの日程をプリントで確認しておいて下さい」
と先生がプリントを配り終え、明日からの日程を確認して与一に話しかけようとした時、
「中村君ってどっかで会った事ないかな?何か知ってる気がするんだよね」
と遅刻してきた常盤さんが話しかけてきた。
新手の逆ナンか!?とか思いかけたけど何となく知ってる気がしたので、
「えーと、何か知ってる気がするけど、ごめんよく思い出せないや」
思い出そうとしてもなかなか思い浮かばないので初対面ということでいいんじゃないか?とか楽天思考をしてたら…
「中学…一緒なら知ってるはずだよね、小学校どこだった?」
「え、確か弥生第三…」
「んー、じゃあ違うかぁ。じゃ幼稚園は?」
あ、思い出した。
幼稚園で確か「ハナ」って子いたはずだ。
「もしかして笹川幼稚園ユリ組のハナ?」
フレーズだけで言えばナンパかも?とか思いつつも思ったことをそのまま言ってしまった。
「あーじゃあ、裕ちゃんだぁ〜お久しぶり〜」とか特にナンパっぽい発言は気にしてない様子。
そういえば、幼稚園の頃美月と花と遊んだっけなぁ…とか感慨に耽っていると、
「ほー、お前等知り合いなのか?」とか呑気に振り向いてくる与一。
花はえ?誰?みたいな顔してこちらの様子を伺ってくる。
「あ、与一って言ってこの高校の校長の息子さんらしいよ」と教えてあげた。
「へーそうなんだー、よろしくー」と何故か棒読みの花。
「ああ、よろしくぅ〜」とかお気楽な返事の与一。
他の生徒はほとんど教室にいなかったため、3人で教室を独占し、お昼時までのんびり会話をしていた。
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