1分かかるかかからないかの間に椿さんは戻ってきた。
「楸OKだって。何か茜先輩も手伝ってくれるらしいよ」
期待してなかっただけに結構嬉しかったりする。
与一ではないけど、女性の手料理ってのも久しぶりだからだ。それ以前に最近は自分で作った物しか食べてなかったし。
茜さんの料理の腕は未知数だ…
運動に使う器用さと細かい作業に使う器用さは少し違うからなぁ…
心配してもどうにかなるわけじゃないし、あーだこーだ言って着替えてから料理しろとか言われるのも嫌なので時間一杯工作の方に集中することにした。
「んじゃ、行って来るー」と、でかい声が聞こえたのは多分茜さんだろう。
楸さんと食材の買出しと言ったところだろう。
僕と雪菜さんは結構朝食の時間早かったけど、雪菜さんは量が量だったし、僕は特に空腹なわけじゃないから多少昼食が遅くなっても問題ない。
実は木材は全然切り終えてなかったりする。
本当なら線の通りに切ればこうはならなかったのだけど、ギリギリに線を引いてしまっていたので余裕を持たせて切るとまた別の板を出してから切りなおす事になるからだ。というのも、1箇所切ってしまえば2枚の板が出来上がるように線を引いていたからだ。
とにもかくにも、1人では今日明日で終わるような内容じゃないことが判明した。
今は与一と椿さんが手伝ってくれてはいるものの、昼食後は何か遊んでそうな2人だし、僕も何か用事を言いつけられるかもしれないからだ。
それを置いといても、平日の部活の時間に工作部として普通の活動をしていれば問題ないはずだ…多分。
今日は木屑という理由がつけられるにしても、毎回毎回これを理由に料理を拒否することはできないだろうな…
何でこんなに1人で悩まなければならないのか!?と考えながら木材を切ってると何だかふにゃふにゃした切り口になっていた。
それ以前に肉体労働による空腹のため、力が入らないってのもある。
与一と椿さんは手伝うと言っても板を押さえてくれたり、木屑を床に払ってくれたりするくらいだからあまり役に立ってなかったりする。
ていうか、切り口がふにゃふにゃになってるのに教えてくれないってのは結構どうでもいいとか思ってるんじゃないのか?人間不信になりそう…
「ただいま〜」と声がしたので買出し組が帰ってきたのだろう。
与一と椿さんと昼食何だろうなと話しながら相変わらず木材を切り続ける僕。
腕が何だかダルくなってきたので、適当な所で切り上げる事にした。
「与一と椿さんは何か作らないの?」
「俺は別に何か作りたくて入ったわけじゃないしなぁ」
「僕だって何か作りたくて入ったんじゃない、というか与一が原因だし」
「あ、そうだったか?アハハ…」
「そういえば私もノリで入っただけだから特に作りたい物とかはないんだよね」
「2人とも飯食いに来てるだけかよ…」
心底げんなりした様子でそう漏らす。
「まあ、そのうち雪菜さんから課題とか出るかもしんねーから、それまでは無駄な体力使わないようにしないとな」
「体力の問題じゃないと思うけど…」
椿さんの正論に僕は大きく頷いた。
「あ、メシできたみたいだ」
与一は鼻をひくひくさせてからそう言い残して逃げて行った。
「料理の匂いとかする?」
与一の嗅覚を疑うかのように椿さんに聞いてみる。
「いや、木の匂いしかしないけど…」
「そうだよね」
そう話してると花が「ご飯できたよー」と呼びに来たので椿さんと作業場を後にした。
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