結構疲れてた割に2時間程で起きる事ができた。
ちょうどベランダの方に日が昇って眩しかったせいでもあるけど。
大きな伸びをして立ち上がり、周りを確認…みんな起きてるな。
別に誰が起きてようと問題があるわけでもないけど、とりあえずはそうすることにしている、ほぼ無意識に。
TVでは土曜ならではのワイドショーが放送されている。
何でも一家心中を企てたリストラされた元サラリーマンが妻と子供2人を道連れにしかけて生き残ってしまったとか…アホかこいつ。
そのTVをぼけ〜っと突っ立ったまま見てたらふと振り返った花と目が合った。
「あ、裕ちゃんおはよ〜」
煎餅くわえたままなのによくしゃべれるなと感心しながら「おはよう」と返した。
各自朝食は済ませてあるようで、特にやる事がないなと小説に手を伸ばす。夜中から卓袱台に置いたままだった。
因みにこの居間には座椅子は12個あるので、1個や2個ベランダのとこに置きっぱなしにしていても全く問題がない。
そのため、適当に空いてた花の横の座椅子に腰掛け、TVの音に耳を傾けながら小説にのめりこんでいた。
10分程で集中力が切れた。理由は喉の渇き。
1部の人を除いて皆さんTVに見入ってたりする。こういう些細(?)な番組程のめりこんだら抜け出せなかったりするんだよな。
キッチン内の冷蔵庫を開け、何か冷たいものはないかと探ってみる…牛乳とビールくらいしかない。
ていうか、高校の部室に冷蔵庫があるってだけでも普通じゃないのに、ビールがドーン!と置かれているってのはかなり問題なんじゃ?
かといって、水道水を飲む気にもなれないし、緑茶や紅茶、ましてや珈琲など飲む気になれなかったし、外に買いに行くのも嫌だったのでとある作業に入る。
牛乳と数種類の果物を準備し、果物を適当な大きさに切ってからミキサーに入れる。
あとは砂糖とキムチ以外のジャムで少しだけ味付けしてから牛乳を流し込んでミキサーのスイッチを入れる。
ここは悲しきかな家政夫の性、ちゃんと9人分作ってたりするのは御愛嬌だ。
何せ、部費で購入した食材なだけに自分だけが消費してしまうわけにはいかないからだ。
この簡易なドリンクが結構好きだったりするけど、部員はどんな反応をするんだろう?
因みに9人分とは言ってもコップに9等分したら下から6割程度の高さまでの量にしかならないため、そこは氷を入れて誤魔化しておく。
味が濃いって人は牛乳を加えるなりして勝手にしてくれればいいのだ。
盆にミキサーのガラス部分(取り外し式万歳)とコップと牛乳のパックを乗せ、卓袱台へと運ぶ。
残り物のスコーンでも…と思ったけど、見事に食い尽くされていたので今回ばかりは諦める。
因みにドリンクを作るちょっと前に牛乳で少しだけ喉を潤していた。
別段、特に飲んで欲しいわけでもないので卓袱台のど真ん中に置いておく。気付いた人が飲めばいいわけで一々教える気力もない。
先程と同じく花の隣で座椅子に腰掛け小説を読む。
ストローでゆっくりとドリンクを飲んでると中々に心地良い。
TVがCMに変わり、見入っていた花が「あれ?何飲んでるの?」と聞いてきたので卓袱台の中央を指差して教えておいた。
たかだか土曜のワイドショーにそこまでのめりこめるってのも才能なのかな?とかぼんやり考えているとまた眠くなってきた。
何か忘れてるような気がする…
ああ、タクシー代だ。
これは今度買出しに行く時にでも請求すればいいし、他に何かなかったっけ?と思い浮かべる…
そうだ、部活だ。
何かTVとかゲームとか料理とかおしゃべりとか部員が勝手気ままにやっているので工作部という地味そうな部の活動なんてのは綺麗さっぱり忘れてしまっていたわけだ。
それだけならともかく、月曜からは普通時制での授業が始まるため、部活自体の時間も少なくなるんだった。
この土日で何か始めようとか数時間前考えてたんだっけな…そうそう、雪菜さんの昔語りを聞いてた時だ。
ふと小説に目を向ける…中世ヨーロッパの話だ。
そうだなぁ、最初から成功するわけでもないし、失敗しても記念になるような小さい物でも作るか。
うーん、小学校くらいの工作なら最初は鳥の巣箱とか竹とんぼとかでいいんだろうけど、そんなの全く持って必要ないし。
ああ、そうだ。
本棚にしよう、高さ1mくらいのなら部屋までの持ち運びも簡単だし、学校に置きっぱなしの教科書類を入れるためにも使えるし。
何となくそういうイメージが沸いたため、まずは部長である雪菜さんに聞いてみる事にした。
BACK
INDEX
NOVEL
雪月花
NEXT