大体1時間くらいかかったけど何とかスコーンが焼きあがった。
香ばしい良い香りだ。
ジャムは開封しない限り冷蔵庫に入れなくていいので棚に置いていたんだ、と、確認。
棚からジャムを出し、皿に軽く盛る。
与一が寝ながら鼻をヒクヒクさせてるけどまあ起きないだろう。
「雪菜さんも食べます?」
「そうね、戴こうかしら」
皆が起きた時の事を考えて4〜5人でもそうは食べきれない量を作っておいたわけだ。
カウンターにスコーンを盛った皿を置き、ジャムの瓶を開け皿の端に垂らす。
ついでに紅茶も準備しておいた。
1時間後くらいに夕食の準備を始めるけど、実際食べるのは2時間後くらいになるから腹具合はあまり気にせず全種類のジャムを試してみる事にした。
まずはブルーベリー…うん、美味い。
イチゴ…ちょっと薄いかな?
ママレード…うわぁ、黄色い〜
キムチ……
不安になったので雪菜さんの様子を伺ってみると…
うおい、普通にキムチジャムつけて食べようとしてるよ!?
パソコンいじりながらだからどれつけてるのかわかってないのかな?
口に入れるのを待って、感想を聞いてみる事にした。
「あら、なかなかいけるわよ、これ」
僕の視線に気付いていたのかどうかはわからないけど嘘じゃなさそうだし試してみる事に。
「あ、美味い」
何かピリっとしてて、キムチの臭みも加工で消えてるらしくスコーンの香ばしさを消さない程度の辛さだ。
「買って正解でしたね」
「そうみたいね」
相変わらずパソコンをいじりながらの発言だ。
「これくらいでいいかな…」と漏らしてパソコンの電源を切り、端に寄せる。
「何してたんですか?」
まともな活動をしていないとはいえ、部活中にパソコンいじってるのを何度も見てるので気になったわけだ。
「何となく作りたいもののイメージが沸いた時に簡単な設計図を描いてるのよ。今はそれをまとめてたって感じかな」
普段が普段なだけにちょっと感心しちゃったり。
「何か良く分からないけど凄そうですね」
正直な感想だ。
「こんな物慣れよ」と、微笑みながら言われた。
いつもの笑顔とは違うな…まあ、春だし。
「あ、そうだ」
ふと思い出したので、
「土日も部活はあるんですか?」
「そうねぇ、今日鍵を渡すから自由参加かな。でも特に作りたい物がない人は来ても無駄になっちゃうけどね」
「作りたい物かぁ…」
ないな。
「そう難しく考えなくても漠然としたものでいいのよ。箪笥とか机とか…」
「そんなでかい物作るんですか!?」
「まあ、それは今のところ冗談ね。ペン立てとか写真立てとか」
立てる物ばっか?…とまあ、これは言わないでおこう。
ということは最終的には箪笥とかも作るかもしれないってことか。
「私は基本的に毎日来るから設計図欲しい場合は言ってね」
「はい、わかりました」
何か珍しく工作部っぽい真面目な会話をしてしまった。
「というわけで、夕飯そろそろお願いね」
あ、そうですか。
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雪月花
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