何か全くタイプが違う感じの雪菜さんと茜さんがこんなに仲いいとは思わなかった。
うん、何か平和だ。
駅前の鍵屋に着き、何のためらいもなく入る…
ここら辺あんま来た事ないからちょっと緊張してたり。
誠さんが後ろから背中を押すのでちょっと躓いて茜さんの背中にボフっとぶつかってしまった。
「何やってんだ?」
「いや、ちょっと躓いちゃって」
「気つけろよ?」
「はい、すいません」
何か恐縮しちゃうな…
雪菜さんが店員さんと何やら話している…まあ、部室の鍵の件だろうけど。
僕以上に恐縮している人発見!鍵屋の店員さんだ。
ただ突っ立ってるのも面白くないので真っ黒な大きい南京錠を見つけ手にとって見た。
…重い。何これ?鍵の意味あんの?ダンベルなんじゃ?ってくらい重い。
背中をポンと叩かれ「行くわよ」と雪菜さんに声をかけられる。
う…何か店員さんの視線が痛い…
そそくさと店を出た…何かやな感じ。
続いて保科工具店へ…
誠さんの様子を伺ってみると何か引き攣った表情だ。
多分僕も似たような表情なんだろうな…
雪菜さんと茜さんが先に入る。
「あんまり入りたくないですね…」
「そ、そうだね…」
「何やってんだ?早く来いよ」
「あ、ああ…」
僕は口を開く事さえ拒否したい状況だ。
まあ、雪菜さんが弱味を握っているらしいからそれに頼るとするか。
「あらぁ〜いらっしゃい」
相変わらずいい人そうな雰囲気満々な店長さん。
外見じゃ人はわからないって本当なんだなぁ…
「裕君に、マコちゃんも!」
マコちゃん?と思いふと誠さんを振り返る。
すっごい気分悪そうなんだけど…
「お、お久しぶりです…」
さすがは爽やか青年、気分は悪くても目上の人に挨拶は怠らないってか?
因みに僕はというと…妙に反抗的な態度を取ってたりする。
弱味を見せたら追っかけまわされそうな雰囲気だからだ。
「店長、電話鳴ってるわよ」
チッっと舌打ちをして雪菜さんの言葉通りに電話に出る。
「今のうちに2人は外に出てて」
雪菜さんの後ろ手には通話中の携帯電話だ。どうやら僕と誠さんを逃がしてくれるらしい。
外に逃げ、2人で「危なかったですね」とか話してると色々荷物を持った雪菜さんと茜さんが出てきた。
何か知らないけど店長さんが後ろについて来ようとする。
「店長、店を空けちゃまずいでしょ?」
何とか雪菜さんがなだめているが凄い険しい顔で僕と誠さんを見比べている店長さん。飢えた獣状態だ。
「今度は2人で来てね」
僕と誠さんにそう言い残し渋々店内に戻っていく店長さん、めっちゃ恐い。
「危なかったな、店長発狂寸前だったぞ」
いい物見れたとでも言いそうに楽しげな茜さん、冗談にしては笑えませんよ?
「獲物が2匹同時に現れたせいで一気に興奮しちゃったみたいね」
なるほど、僕と誠さんの2人だったから?ん?
何か変な気に入られ方されてるんだなぁと実感。
「そんな、冗談じゃないよ。2人とも僕と裕君の2人が同時に店長の前に行ったらどうなるか反応見たかっただけだろ?」
「あら、バレてたのね」
「まあ、何事もなくて良かっただろ」
このコンビは危険だ!僕は瞬時に判断した。
雪菜さんの悪巧み&茜さんの行動力が合わさると命がけだな…
誠さんが「こうなりそうだから普段は僕と葵が別々に監視してるんだよ」とこっそり耳打ちしてきた。
何か物凄く納得しちゃってるけど、葵さんが抑止力になるんだろうか?悪乗りはしそうにないけど…
雪菜さんにいつの間にか荷物を任された誠さんと茜さんはそのまま部室へ、僕と雪菜さんは食材の買出しへ行く事になった。
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雪月花
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