「ただいま〜」
もう、慣れました。
「おかえり〜」
与一が普通に返事を返してきたのが凄い嫌だ。
起きてるのは与一だけ、つーか普通に起きてたけど葵さんと椿さんが一緒にいたから狸寝入りしてたっぽいな。
その2人は僕の後ろにいるわけで…与一も賢くなったもんだ、お辞儀して「おかえりなさいませ」とか言ってるよ。
あ、葵さんに撫でられてる…ちょっと羨ましいかも。
椿さんに抱きつかれてる…ちょっと憐れかも。
雪菜さんは見事にスルーだ。そこに与一が存在していないかのような素振りは完璧ですね。
夕飯の準備まで少し時間があるため一休みすることにした。
お茶(緑茶)と煎餅を卓袱台に持って行き、夕方にあるドラマの再放送をみる…
与一が「ハッ○ポッチス○ーションみたい〜」とか言ってたけど起きてた全員で却下した。この時ばかりは雪菜さんも反応した。
6時になり、さて始めますかと席を立つ。
そう、勿論夕飯の準備だ。僕の仕事だと皆わかっているので誰も手伝おうとしない。
料理下手だけど料理好きらしい葵さんが立ち上がろうとしたけど雪菜さんが話しかけて渋々座った、ナイスフォローだ!
冷蔵庫を開けるとレアチーズケーキがものの見事に無くなっている、どうやら与一が食い尽くしたらしい。
寝てた人は文句を言うだろうが知ったこっちゃない、文句なら与一に言え。まだ文句言われてないけど、そう対応策を練っておいた。
久々に和食にしてみた。
魚とか煮物とかでなかなか美味そうなのができたけどまだちょっと早いかなと思ってしまう。大半の人寝ちゃってるし。
まあ、魚はレンジで暖めれば良いし、煮物は再加熱すれば食べられるから少しの間放置しておいて簡単なデザートを作る事にした。
いつもより15分程遅れたが寝てた人が結構いるため文句は言われず、何とか平和に食事を終えた。
平和っていいなーと考えながら食器を片付ける…ある意味非日常を体験できるいい部活かもとか考えちゃいけない事まで考えてしまう自分がいた。感化されたのかな?
ちょっとしたデザートを出すと与一が目を爛々を輝かせている、その様子はまるで餓鬼だ。
因みに食事の時とかの席は完全にランダムだが雪菜さんが上座なのは決定事項らしい。
何か工作部とかいう部活とは思えない日々を思い出しながら残りの食器を片付けてると何だか悲しくなった。
そういえば、明後日は土曜だけど学校は休みのはずだよな?部活はどうなんだろう?
明日聞けばいいやと「食器洗い終わりました」と雪菜さんに伝え解散の合図を待つ。
「じゃあ、解散ね〜お疲れ様」雪菜さんがそう言うのはお決まりのようで、実際疲れてるのは僕と椿さんに引っ付かれてた与一だけみたいだ。
一々文句を言ってもどうせ聞き入れてもらえないだろうと判断し、そそくさと自室に戻った。
…で、何故か椿さんと楸さんがいるわけだ。
花を相手にする時ほどはっきりと「帰れ」とも言えないのでちょっと緊張気味。
自室で緊張するってどゆこと?
特にこちらから話す事もないのでベッドに横たわり2人の反応を待つことに。
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「えっと、どうかしたの?」
沈黙に耐え切れず口を開いてしまう僕。僕の弱虫ぃ〜!
「んー、特に用はないんだけど…」
「そう、用はないんだけど帰っても暇なのよ」
女子制服の楸さんは優等生っぽいけど語尾が弱々しげなんだなと頭の隅に置いておく。
「えーと、何か飲む?」
暇だからという理由で居つかれるとは…花と同類か?
「「あ、お構いなく…」」
何か2人してもじもじされるとこっちが恥ずかしくなるな。
「…」
「…」
「…」
またも気まずい沈黙。
僕何かしたっけか?
された覚えはあるけどした覚えはないんだよな。
「もう、外暗いしさ、親御さん心配するだろうから帰ったら?」
遠慮がちに言ってみる。
「あ、うん、そうだね。楸、帰ろっか?」
「うん、じゃあ、裕さんまたね…」
弱々しく手を振られると凄い照れるんだけどな…
因みに僕と双子間の敬称は「さん」で統一されてたりする。
「じゃ、また」と軽く会釈してドアの鍵を閉める。
何だったんだろう?
よくわからないまま普段通りに色々やって眠りについた。
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雪月花
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