「よっと」
僕のシュートはリングにはじかれるも誠さんがリバウンドを取り一度外にいる茜さんに戻す…そこからシュートが…決まった。
というわけで、何故か工作部の先輩方とチームを組んでの3on3中。
自慢じゃないけど中学時代は帰宅部だったからバスケなんて体育の授業でしか経験がない。
元々家事でスタミナはついていたが、バスケなどの全身運動はさすがにきつい。
家事をこなすようになったのは「日本を放浪してくるわ〜」と言って家を出て行ったお袋に対し、「なにぃ!では父さんは世界だ!」と追いかけるわけでなく、同日に家を出て行った親のせいだったりする。
中華鍋を片手で操るくらいなので、シュートは届くが精密度は低い。
2人の長身と実力のお陰か、今のとこ4:8で勝っている。
ビビーとタイマーが鳴り、ベンチに座って一休み。
「裕もなかなか動けるじゃないか」
「うん、運動してない割には動けてるね」
と、褒めてくれるのは嬉しいが何でこうなったのかと言うと…
まあ、必然的なのかな。
足を休ませたら喉の渇きに気がついた。
自販機があったので3本スポーツ飲料を買ってくる。
「お、悪いな」「ありがとう、お金は後で払うよ」
やっぱこの人達いい人だ!多分…
「いえ、どうせ部費で買い物するから立替ときましょう」
「その手があったか」と茜さん。
疲れているのか呂律が回らないが意味は通じたようだ。
因みに相手チームは大柄な外国人3人だったが、茜さんと誠さんの信じられない動きでまともにプレーできなかったようだ。(「Shit!」って聞こえた)
今コートは知らない人達が対戦している。
「んじゃ、そろそろ戻るかぁ」
大きく伸びをしながら言う茜さんは既にジャージの上着を脱いでいるため上はシャツだ。
誠さんは平気そうでジャージを着たまま。
僕はただの普段着なので上着を脱いだ状態。
2人とも背高くていいなーと見とれてるとズイっと茜さんが顔を近付けて来…
「どうした?」と聞いてきた。
見る人から見れば恐いかもしれないが、あいにくそういう偏見は持ってないため「いえ、2人とも背高いなーって」と思ったとおりに言ってみた。ちょっとドキドキしたけど…別の意味で。
「ハハハ、裕もその内伸びるさ」と気楽に言われるが自信はない。
「誠だって、入学した時は裕くらいだったけど急に伸びたもんな」
「そうだね、冬くらいに茜に追いついたんだったかな」
「あーくやし」と2人ともサッパリしてる。
2人ともお兄さん気質なのでかなり親しみやすい。
工作部ではかなりまともな部類だろう。
「でもちょっと意外だったなぁ」ボソっと言ってみた。
「何が?」
「いや、茜さんって身長あるから誠さんみたくズバズバ切り込んで行くタイプかなって…」
雰囲気のせいか、思った事がポロポロ出てしまう。
「今日は裕がどんなタイプか見るためだったしな」
「そうそう、これから何度も一緒してもらうから確かめる意味でね。シューターでちょうどよかったよ」
ハハハと爽やかに笑いながら誠さんが言う。
いつの間にか3人でのメンバー編成が決まってるらしい。さすがに雪菜さん部長の工作部だな。
「1年の時は雪菜がやってたんだけどね」と誠さんがこれまた意外な発言。
「2年になってからは『体力の衰えを感じるわ』とか言ってやらなくなったんだよな」
「でも、ほとんど経験ないから中に入るの恐かっただけですよ」思い出したかのように言ってみる。
勿論バスケの話だ。
「あーいいよ、リバウンドは取るから」と誠さん。
「んじゃ、そろそろ買出し行くかー」「はい」
茜さんが思い出したかのように言うのでどうやら付き合ってくれるらしい。
何か買う物が食材じゃなければかなり青春っぽいんだけど…とか思いながらスーパーマルカワへ向かった。
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雪月花
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