授業並みに疲れた昼休みを終え…午後の授業なかったの!?
「今週は部活決定期間だから午後の授業はないぞ」…与一談。
つまりは、一々食堂へ行ったりしなくても早々に帰宅すれば学食代を浮かせる事ができたのだ。
「そういえば、入学から1週間以内に部活に入らないと退学ってのは本当なのか?」
「ああ、部活じゃなくても委員会でいいそうだ」
「なるほどねぇ〜」
最後の一言は花だ。つーか、いつの間に?
「因みに部活と部活の掛け持ちは禁止、退部したら三日以内に別の部活に入らなければ退学。委員会同士の掛け持ちも禁止で何故か部活と委員会の掛け持ちはOKなんだそうだ」
「ねぇねぇ、何の話してんの?」
と、明らかに女子高生風のノリなのは双子の妹楸さん。
今日は男子の制服を着てる方だ。
「あ、楸ちゃ〜ん」と抱きつく花。
幼馴染としては男装してる女子に抱きついてる花が心配だ。決して嫉妬ではない。
制服さえ揃えればどっちがどっちかほとんど見分けがつかないなと改めて実感した。
いつの間にか椿さんは与一の机に座ってるし。
「部活の話だよ」と切り出して簡単に説明した。
「え?部活入んないと退学なっちゃうの?」
驚愕の新事実!?とでも言いたいのか、オーバーリアクションな花。
こいつ話聞いてたのか?
「そういえばそんな事言ってたね」と椿さん。
「うん、確か高校のパンフに書いてあったはずだよ」
「楸〜どの部に入る?」「椿こそどうすんの〜?」
声が似てる…というかほぼ一緒なので腹話術でもされたらどっちがどっちかわからない。
「中村君達はどこに入るの?」こっちは…椿さんだな。
「入るって言うか、もう与一に入れられてるんだ、花と一緒に工作部に」
「え〜、工作部〜?」何となくムカツク女子高生を思い浮かべる話し方をするのは妹の楸さん。
「僕だって入りたくて入ったわけじゃないよ、気がつけば与一に入れられてたんだ」
「なるほど、校長息子の権限ってわけね!」
「何で私が与一なんかと一緒の部活に…」今更ながら同感だぞ、花。
「まあ、いいじゃないか」何気に穏やかな口調の与一は葵さんに似た笑顔を浮かべる…なるほど、男だとアホ面に見えるけど葵さんだからおっとりした雰囲気になるんだな。
「んじゃ、私達もそこにしよっか?」「そうだねぇ〜」
「おー、来い来い、歓迎するぞ」何で偉そうなんだ与一。
「えーっとぉ、それじゃあ入部届け明日持ってくるから今日は見学でい〜い?」
「別に印鑑なくても親父に頼めばいいからここで書いちゃえよ」
「そっか、了解了解…」
鞄を漁って入部届けに記入を始める双子。
僕の悩みは部員増加による食事の問題だった。
もう頭には自分=家政夫の図式が成り立ってるらしい…不本意だが。
「じゃ、行くか」
与一の掛け声で席を立つ。
「裕ちゃんおんぶ〜」
「何でだよ!」
「あら〜、二人はそんな仲だったのね」と面白そうに傍観してるのは椿さん。
何故か楸さんに捕まえられて、花が後ろに飛び乗ってきた。
この2人、結構厄介なコンビかも。
「花じゃなければ羨ましいのにな」と耳打ちしてくる与一。
全くだと考えてると花は片腕で僕にしがみつき(勿論首が絞まる)ポケットからBB弾を取り出し親指で与一に向かって弾き飛ばした。その威力、エアガン並。
一人前を歩く与一の後頭部に直撃し、振り向いた与一の顔面に次々と降り注ぐBB弾。
片腕で首を絞められっぱなしだったので、しょうがなく花の足を支えてやってる僕。
ようやく弾切れなのか、満足そうに両手でしがみついて来る花に対し、与一は恐怖に見舞われた表情で「さ、先行ってるからな」と走り去っていった。
そこら中にBB弾が転がっているため、踏まないように摺り足気味に後を追った。
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雪月花
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