今日は火曜なので明日も平日だ。
ということは高校最初の授業があることになる…ので、そろそろ帰りたいなとか思って発言してみた。
「何時になったら帰れるんですか?」
何かもう、疲れきった様子に見えるように言ってみたが…
「裕君、嘘は良くないわ」とバッサリ斬り捨てられた。
「何でわかったんですか?」
「目が嘘吐きの目だったもの」
次からはアイマスクでもしよう。
「で、何時までですか?」
「そうねぇ、どうせなら夕飯も済ませて帰りたいから7時くらいかしら」
「まさか夕飯って…」
「さすがにそこまではさせないわよ、少しくらいなら私も手伝うわ」
この人の言う『そこまで』ってのは一人で料理する事らしい。
どっちにしろ、今すぐ帰れても明日からの生活費が足りないためATM機までお金を下ろしにいかなければならない。
因みに現在時刻は3時過ぎ。
「それじゃあ、買出しにでも行きましょうか」
「行ってらっしゃい」
笑顔で送り出そうとするも…
「裕君が作るのに裕君が行かなくてどうするのよ?」
「そうよ、裕ちゃん行ってらっしゃい!」
何か、もう花は面白がってるとしか思えないな。
「まさか手伝うって、買出しについて行くだけとかじゃないですよね?」
「あら、それじゃいけなかったかしら?」
もう、僕が一人で調理するってのは大前提なんですね。
「今お金持ってるんですか?」
「ちょっと足りないかもね…部費が口座に振り込まれてるはずだから買出しの前に少し下ろしておきましょう」
何か一部活動ってレベルじゃないな。
「私、裕君と買出しに行ってくるから留守番お願いね」
居間にいる皆に呼びかける雪菜さん。
「はーい」と答える一同に対し、与一が「え?まじ?」とか言って振り返ったけど「大マジよ」と返され黙り込んでしまった。
その一瞬に茜さんの目が光ったと同時にTVの画面が超必殺技の大げさな光を放っていた。
「うわぁ、茜さん酷いっすよー!」
何か一人で忙しそうな与一の事はほっといてさっさと買出しに行っちゃおうと玄関に向かう。
行動とは裏腹に与一も僕とは別のやり方で遊ばれてるなと妙に親近感を覚えてしまった。
これからは何とか与一に集中砲火されるように仕組まないとな…と堅く決意した瞬間でもあった。
「あ、準備してくるから少し待っててね」
そう言い残し居間の後ろの壁に向かう雪菜さん…って、そこに部屋あったんですか?
何か回転扉みたいに開くドアの向こうはよく分からなかったが葵さんと花が卓袱台で楽しそうに談話してるから見に行こうとも思わなかった。
この二人って…与一に暴力加えるコンビだよな…
3分程してロングスカートとブラウス&上着の私服の雪菜さんが出てきたが、何て言うか…見事に似合っているため敢えて何も言わなかった。いや、言えなかった。
与一は茜さんに負けまいと必死に画面に食らいついてるため、雪菜さんの私服姿は確認できない様子。
駅の方へ向かう道中、学ランは脱いでいるもののほとんど制服姿の僕と、私服姿の雪菜さんが歩いてるだけで注目を浴びてしまった。
だってさー、中身小悪魔の癖に外見は綺麗だもんな。
どこぞの主婦が「あらあら」とか言ってたけど何が「あらあら」なのかは深く考えないようにした。
駅前のATM機は全くといっていい程人がいなかったので、雪菜さんがお金を下ろして出てくるのと入れ替わりに残高確認をしてみた。
『残高40000円』
多いような少ないような金額だが、節約しなければ1ヶ月生きて行けない金額だ。
今ばかりは部費で夕食も済ませられることに感謝した。
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雪月花
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